奇襲だった。どこのかは分からない山姥切国広が一振り。静かに、静かに私に刃を向けていた。真夜中の本丸ではあまりに突然すぎる。私の近侍も山姥切で、二振りの山姥切が睨み合い月灯りに照らされていた。美しいと思った。私の山姥切が口を開いた。
「…おい、俺に命令しろ」
はっとして私は言った。
殺して。
姿形の同じ刀が同時に動きだした。

どれほど意識を無くしていたのだろうか、目覚めると山姥切がいた。もう一振りの姿は見えない。
「片付けておいた。…怪我はないな。」
彼にかかる白い布は血に濡れていた。
私は聞いた、あなたは誰。
「俺は、俺だ。」
同じ声と調子、どちらであってもいい、同じならば愛そうと思った。
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